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そういえば、アレからもう半年か・・・

ちょくちょく腕のメンテやアタッチメントの接続部を貰いにくるあの・・・
ハイコド・・・だかっていう変な名前のガキンチョと出会ってから

今じゃ常連だもんな



(少しR18Gもどきの表現がありますご注意を)

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ヒラニプラ郊外

切り立った崖を背にして立てられたプレハブ小屋・・・地震が起こって土砂崩れが起こったら一巻の終わり
と言える小屋に一人の男が住んでいた

名をガルフ、全身傷だらけでボッサボサの黒い長髪を好き放題に伸ばしている
義手職人で気に入った相手にほぼタダで義手を渡すような人
ただし気に食わない相手にはボッタクリ価格で売り込む

が、腕は確か・・・と言うよりほとんど趣味で作っているようなものなので量産とか一切しないのだ
簡単にいえば量より質、100個の脆い義手を作るならその分の予算と時間を一つの超頑丈な義手に叩きこむ


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4月

ガルフはヒラニプラの買い物途中であるモノを見つけた
材料に使えるわけもなく、義手に加工することも出来ず、宝石のような価値もない

人間が一人、朽ち果てかけていた
長めの黒髪を後ろで一つに纏め、左眼には斜め一文字の傷
大した装備も付けておらずライダースジャケットを着ているくらい
側にはライトブレードの柄が落ちていた、これがこの人間の武器だろう

他に普通と違う所を探すのなら、1つだけあった
左腕が二の腕・・・と言うより肩から先が無かった
観察すると断面は焼け爛れている
どうやら炎系の技で傷口を焼いて塞いだようだ
まだ微かに息はあった

「・・・・流石に見殺しにできんか」

男を担いだ所でガルフはなくなっていた左腕を見て
いや、客が一人増えたか

「ん、これは・・・」

ガルフは『おそらくこの男の左腕らしきモノ』を見つけた

おそらくと書いたのは何もはぐらかすためではない
見たままの状態を書いたまでだ、色は紫とも緑とも言えない色になって肉があった所はゼラチンが足りないゼリーの様に崩れていた

「・・・狼が食ったら腹壊すだろうから回収しておくか」

いや、どんな鉄の胃袋を持った生物でもこんな物を食べようとはしないだろ
と他に人が居たら突っ込んでいただろう

____________

すごく簡単な依頼の筈だった
『女の子をヒラニプラまで送る』
ただそれだけ ・・・・いや、どこか怪しいとは思った
今の時代、交通手段はいくらでもある
それこそ金をかければ瞬間移動装置だってある
なのにわざわざ人に依頼してまでするのか?と思った
ただ、ソランにプレゼントしたいと思った物の金額とほとんどぴったりで1日掛からずに終わる低レベルの依頼だったから受けただけ

それが
「はぁ・・・はぁ・・・、なんでこうなる!」

女の子はとある所のお嬢様で?悪いひとたちが狙うかも知れないから護衛を付けようと思ったけどお金がなくて依頼レベルを下げて申し込んだ!?

どこの忍者漫画の初期の話だよこのヤロー!!!

     ハイコド:総合レベル19 ナイトレベル16

という訳でわるーいおじさんと戦闘中
ちなみに女の子は通りがかったコントラクター(新人っぽい人)にお願いもとい刃を突きつけて送るようにしてもらった

相手の人数は3人
動き方から見て非契約者のようだ
・・・助かった、コントラクターがひとりでも居たら本当にまずかった

と考えていると男たちはボウガンと銃を抜いて放ってきた
普段なら突っ込んで倒すところだけど鎧も着てなければ盾も無い
装備はライトブレードのみ
それに相手がこちらを『殺す』つもりでの戦闘をしたことがなかったため正直ビビっていた

岩陰に隠れてひとまず深呼吸、【超感覚】を発動
まずは音で相手の位置を確認する
相手は馬鹿みたいに撃ってくるだけ、アレじゃ話に聞くパラ実のヒャッハーいう人と変わらない

勝機はあると見て岩から飛び出す
すると予想通りこっちに向けて撃ってくる
ジグザグに躱しながら地面の砂を一握り掴んでおく
銃は二人、ボウガンは一人・・・銃はともかく矢なら簡単に避けれる
相手との距離をいとも簡単に詰めることは出来た
流石に殺すわけにはいかないので右端の男をライトブレードの柄をぎっちりと握った拳で鳩尾をぶん殴る!
まだ僕がヒヨッコとはいえコントラクターの拳は効くのか崩れ去るが・・・意識をなくすことは出来なかったようだ

「この糞ガキがァ!」

仲間がやられたことに怒った二人は僕を狙ってくるが横に飛んで逃げると主に左手で掴んでおいた砂をもう一人の銃を持った男に投げつける

「!?」

岩陰に転がり込んで覗くとどうやら成功したようで男は目を抑えていた
落ちていたこぶし大の石を目を抑えている男のこめかみに投げつける
・・・ごめん、死なないことを祈る
男は頭から血を流して気絶した

残った相手は一人
後は簡単、飛んでくる矢をライトブレードで叩き落として接近し石突の部分を男の鳩尾にねじ込む
男は呻きながらその場に崩れた

「ふぅ、なんとかなったかな・・・女の子も気になるし急がないと」

警察に電話しようとして携帯を取り出した時、ズブッと短い音が脳内に響いた

「えっ・・・・」

左腕の肘より少し上だろうか、わからない
ともかくそのあたりから一本の棒が突き刺さっていた
意識がそこにたどり着くときには激痛が走っていた

「がっ、ぐぁあああああああああああああああああああ!!!」

昔不良をしていた時に一度ナイフで刺されたことがあったがその時よりも痛みは激しかった
焼けるような・・・いや、実際に肉が焼けていた
力任せにジャケットを破ると腕はすでに紫色に変色していた

「ざまぁみろ・・・契約者用の毒付きの矢だ・・・」
「コイツどうする」
「ほっとけ、勝手に死ぬだろうよ」

後ろから何かが聞こえたが知った事ではない、痛みで自分以外の存在を認知出来なかったから


オチツケ、イイカラオチツケ、この腕は捨てろ、死にたいのか
頭の中でその言葉が繰り返される

もう立つこともできなくなり地面に倒れるしかなかった
頭が働いてきて土の冷たさを感じることが出来た・・・

土ってこんなに気持ちいいっけ
どうしないといけないんだっけ、腕を斬る?
やだよそんな痛いの
そういえば何でこんな所にいるんだっけ?
依頼で女の子と移動してたら変な男と戦っていて・・・・
何で依頼受けたんだ?
プレゼントする物を買うためのお金稼ぐためだよ
誰にプレゼントしようとした?
そんなの決まってるじゃん

「ソ・・・ラン・・・・・」

なんだ、答えは決まってるじゃん
こんな所で死ねない

「死ねるかあああああああああああああああ!」

ライトブレードの刃に無理矢理火術を纏わせて左肩に突き刺す

「ぐぎぎ・・・・」

死ぬほど痛いとはこの事だろう、歯を食いしばりすぎて口の中で血の味がした
だが突き刺しただけだ、骨も断てていないし肉も離れてはいない
まず刃を下に一気に下ろして半分まで斬る
あまりの痛みに気絶しかけるが流石コントラクター、肉体と精神が休ませてくれない
血がドバドバ流れるのでまずは半田ごての要領で断面を焼いた
おそらく動脈も静脈もプッツンと切れているだろう
あぁ、しまった先に上の方を切ればよかった
そうすれば太い血管切らずに済んだのに

「が・・・も・・・うすこ・・・し」
血が足りなくなったのかふらつく頭を意地で何とかしつつもう半分を切り落とし、残ったSPを全て火術に使う
制御なんて出来たもので無く、手のひらに火の玉を作る程度だったが今はそれで十分だった
躊躇う暇も無く火の玉を肩に押し付ける

「がああああああああああああああああああ!!!!」

今の体は自分の体では無いと思い込むしか傷口を焼くことは出来なかった
そして意識が途切れていく

・・・この感じ、どこかであったな

____________

気がついたときには固いベットの上で寝かされていた
なんとか首は動いたので状況確認をする

ずいぶんと小さな小屋だ
僕の部屋くらいしか広さはない
そして嫌と言っても嗅がされるオイルの匂い、ここは工房だろうか?
そういえば腕や足がそこら中に転がっている
全てが全て本当の人の部品に見えたがよくみれば接合部がある
と言うことは輝晶姫の部品を作るところなのだろうか

ふと声を掛けられる

「起きたかボウズ」

視界の端から男の人が現れた
ずいぶんと傷だらけに見える

「ここは・・・」

「俺ん家だ、買い物に行った帰りに死にかけのお前を見つけた」

「・・・僕は」

少しずつ記憶が戻ってきた

「!、そうだ!腕!!」

思わず自分の左腕を見る

「な、何で・・・」

検査服のようなものを着せられていたから肩とかは見えなかったけど確かに左腕はあった
ちゃんと動く、触っても感覚がある

「腕は・・・切り落としたはずなのに」

「おし、本人の自覚なしでちゃんと動くか、成功成功」

僕を見る男の人は腕を組んでうんうんと頷いていた

「成功・・・ってどういうことですか」

「あぁ、服脱いでみろ・・・すこしショッキングかもしれんがな」

そう言われて検査服を脱いで確認してみる
肩・・・と言うより鎖骨辺りに金属が埋めこまれていた
脇のところもびっしりと埋めこまれている
腕はなんとも無いので見た目で言えば肩にでかい輪っかを埋め込んだ 様に見える

「なんだよ・・・これ」

「悪いが勝手に義腕を付けさせてもらった、どうだ普段の腕と変わらないだろ?」

「意味が分からないんだが、と言うかおじさん誰」

言葉が素になるつつあるが構わない
今はとにかく情報が少なすぎる

「あー、そっからか・・・俺はガルフ、趣味で義手制作をしている」

「義手・・・職人?」

「そうだ、でもって新しい義手をつくろうとしたらお前が左腕を切り落とした状態でぶっ倒れていた。あぁそうだ焼き方とか斬り方が酷かったから肩を全て切り落として接合部を取り付けたがよかったよな?」

・・・・・なんというかこの人は説明する順序というのを知らんらしい

「まー、ともかくだ・・・俺は興味本位でお前を助けて義腕もつけたというわけだ」

「・・・・お金、持ってませんよ」

そうだ、ただでさえお金がなくて依頼を受けたのにこんな勝手に付けられた腕に払えるお金を持ち合わせていなかった
が、予想外の言葉を聞かされる

「あ?金?いらねえよ」

「・・・・・は?」

「言ったろ?興味本位で助けたって 俺からすれば丁度完成した義腕のテストをしてくれる奴が目の前で転がっていたから勝手につけただけだからな。2~3週間使い続けて重さ、不備、勝手、その他もろもろのことを教えてくれりゃ金なんていらねえよ」

「いいんですか・・・・?それで」

「あーもーいい加減しつけぇ、やる言ってんだから素直にもらいやがれ」

「・・・・・」

「どうしたよ」

「・・・いえ、このままだと家に帰れないといいますか、恋人になんて言えばいいのか・・・接合部を見られたらマズイとおもって」

「そうか、ちょっと待ってろ」

そう言うとガルフさんは棚の一番上の引き出しからテープを取り出して
ポイッとこっちに投げてきた、それを慌てて掴む

「そいつを使えばいい接合部を隠すテープだ、薄いから巻いても触っても触れてもおそらく気付かれない」

「いいんですか!?」

するとガルフさんは手を伸ばして

「ただし500Gもらうがな」

と言った

「・・・そこは金取るんですね」

「アフターサービス料だ、逆じゃなくてよかったと思え」

確かに・・・と思いながら僕はなけなしの500Gを払った

____________

その後はおそらく皆が知っていることだろう

1ヶ月後、腕のことをソランに言って、半殺しにされて、泣かれて、後悔した

そして決めた
『相手がこちらを殺す気なら、こちらも殺す気でいけ』と
だけど、やっぱり殺すことなんて出来ない甘ちゃんだとわかっているから
こうすることにした
『殺さず殺す』
ちゃんと言うなら
『殺さず(戦闘能力を)殺す』

そのためのオブスタクル・ブレイカー

敵を気絶させ、武器を破壊し、人を助けるための剣

いつか母さんの前で呟いたその一言を母さんは覚えてくれていた
だからこれからも人を殺すことは無いと思う
ダッテ チマミレノテ デ ソラン ヲ ダキタクナイカラ



おしまい
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