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うーん・・・早く帰りたいのだが

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深夜

今はバカ息子に島全体を使った戦闘訓練をしている
とりあえず一時間時間やって、そこから鬼ごっこみたく私が追いかけるわけだが
探し始めて30分、一向に見つからない

「うーん・・・どっかの穴に落ちたとか?」

すでに島の半分位は大雑把に走りまわったのだが

「暗くてみえねー・・・ま、探せば出てくるだろ・・・・っと」

一応発動しておいた殺気看破が反応した
と言うことは向こうもちゃんと殺る気で来てくれるというわけだ
これだけでも今回の修行は成果があったというものだ

「それじゃ、始めますか」

殺気がする方へ思いっきりジャンプ、そのまま地面へ落下せずに樹の枝を踏みつけて移動する
アイツのことだどうせ照明弾とか信号弾とか煙幕とかロープとか地面に仕掛けているんだろう
しかしそんなものに引っかかる緋音ちゃんでは無いのだ

「見っけ」

暗闇で見えないと思ったら大間違い、ここまで接近できればライオンの嗅覚視力、誤差1メートルで発見できる
そしてそのままティアマトの鱗ネイルをつけた爪で攻撃するがいなされる
元々このままでやられるわけも無いと思っていたので振り下ろした勢いそのままでかかと落としも仕掛ける
それも避けられて・・・いや、掠ったな
たぶん肩

そこから反撃が来るかと思えば何も無しに森の中を逃げて行った
そんなことを許すと修行にもならないのでとりあえず追いかける

「しっかし妙だな・・・なんであんな動きを」

気になったのは掠った攻撃の時に左腕を一切動かさなかったこと
アイツだって超感覚を持っているんだ、ある程度は見えているはず
それならかかと落としも受け止めるなりいなせばよかったのだ
なのに取った行動は左半身を2歩分後ろに動かすだけ
まるで左腕は使いたくないとでもいいたいように

そう考えて追いかけているうちに足に何か引っかかって切れる音がした
木の根・・・?いや違う細くてちと弾力があった
次の瞬間正面から何か・・・いや矢が飛んできた
なにをつけているか分からないため最小限の首の動きだけで避ける

「いつの間にこんなもんを・・・」

どこから撃ってきたか今のでわかったので一旦止まって様子見をすることにした
下手に動けば他の罠が飛んでくる
こりゃトラバサミでもナンデモ作ってそうだ

「確かに素手(爪とか鉄甲はあり)でやると言ったけどさ」

ふと足元を見ると影がみるみる大きくなる
流石にそれはないと思うが

「いよっと!」

上を見ないままジャンプして迫る物を爪で切り裂く
すると予想通り真下から灰高登が攻めてきた

「うげっ!?」

まさか下しか見ていないと思ったのか驚きを隠せないようだ
着地するまでにあと0,5秒ある
その間に切り裂いたものを掴み投げ・・・・
ヒュンと風を切る音がしてとっさにつかんだ物で防いだ

「また矢か!」

すぐさま灰高登を見ると右手の指を細かく動かしている
着地した瞬間、目視感覚聴覚で3本の矢の弾道を見切りかろうじて避ける
その時にとある予想が頭をよぎった

「まさかと思うけどここまで全部読んでる?」

「だったら?」

返答は一言で今度は手首を軽く返したかと思えば殴りかかってきた
その行動は修業を始める前と大して変わらない特攻
だけどここまで私の行動を読んでいるなら警戒しないわけにはいかない

ディフェンスシフトを発動しておいてティアマトのネイルには轟雷閃を発動させておく
このまま決めれればカウンターで一発KO
迫る拳を左手で払おうとするがその手は殴る形でなく、まるで刃物を持っているような握り方だった
とっさに体を捻り左腕を戻す

向こうはランスバレストを発動していたのか勢いそのまま転がりながら木に衝突する

「いったー・・・・何で分かったんだよ、矢を持っているって」

あれは矢だったのか
ご丁寧にこの暗闇で見えにくい色に塗ってやがる
・・・違うか今までの矢が見えやすく白に塗られていたのか

「拳の形だよ、ゲンコツじゃなくてナイフとか持つ時の形だった。次の時はわかりにくくするために指と指の間に挟みな」

するとうーんと悩みながらブツブツ言い始めた
どうやら自分の中でシュミレーションしてるらしい
そういえば....

「もう一ついいか?」

「ん?なに?」

「あんな暗闇でどうしてこの森の中・・・・しかも細っこい糸を見つけて引っ張ってたんだ?」

「あぁ、この眼だよ。この眼は月明かりがあれば普段と変わらない感じで見えるんだ」

・・・・・・懐中電灯いらず、いやそうなると真っ暗は見えないのか
どちらにしても便利だ

「それでどうする、今日はここまでにしてもいいが」

「あ、マジで?」

すっげー嬉しそう、なぐりてえ

「あぁ、あそこまで動けるならもう十分だろ。あとは調整したら帰れるぞ」

「!ほんとに!帰れるの!?」

そう言うとこっちの返事を待たずにさっさと小屋へ走って行きやがった
大方ソランちゃんに変えれる かも ということを言うんだろうな

久々に運動と言える運動をしたからか眠たくなってきた

「私も、寝るとするか」

寝袋に入る前に寝てる二人の顔を覗いてみたらそれはもう幸せそうに眠っていた

____________

次の日、まさかの人が現れた
母さんは口をパクパクと酸素の入っていない水槽の金魚のごとく動かしている

黒髪は短く切りそろえられており、ふちなしメガネの奥にある優しそうな目が母さんを見ていた
竜螺 青丹 僕の父さんだ

「緋音ちゃん、久しぶりだね」

「あ、あああああ、青・・・・丹?なんでここにいるの?単身赴任で端っこ行っているんじゃ」

「あぁ、有給のほとんど使ってね。来ちゃった」

「年末は?」

「ゆっくり」

「年始は?」

「2日までおやすみもらえたよ」

ぷるぷると母さんの体がふるえる
そして次の瞬間

「あなたあああああああああああ!会いたかったよおおおおおおおおおおお!!!!!」

目がハート模様になって母さんが父さんに飛びついた
超感覚でライオンの耳と尻尾が生え、まるでネコのように甘えている
・・・いやネコ科だから正しいか
父さんは母さんをまるで子猫を撫でるように優しく撫でている

あそこまでの猛獣を手懐けるとは・・・まさか父さんてすごいのか?

「にゃふ~♡あなた~♡」

「あはは、緋音ちゃんは相変わらずだねぇ」

よしよしと父さんは母さんの頭を撫でながらこっちを見た

「ソランちゃん久し振りだね、元気だった?」

「あ、はい、おじさ・・・・・義理父さんお久しぶりです」

「・・・ふむ、そう言うという事は」

こっちをじーと見てくる
やめてください、恥ずかしさで死にそうになるから

「それじゃ、言うことはひとつだね。おめでとうハイコド」

そうまっすぐ言われるとこっ恥ずかしくなる
この人は・・・竜螺青丹はそういう人だ
真っ直ぐでどこまでもまっすぐで
母さんとの馴れ初めがそのことを物語る

一目惚れして、毎日殴られながらレディースのトップをしていた母さんに突撃して
最後は恋に落ちた
その部分は聞いたことがないけども、誰だって言いたくないことは有るだろう
だから今まで聞いたことは無かった。これからも聞く気は無い
そのことはふたりだけの思い出なのだから

「・・・ありがと、父さん」

すると父さんはニコッと笑う
けどこれが怒ると怖いんだよなぁ

「ねぇ緋音ちゃんちょっといいかな?」

「なぁ~に~♪」

「ハイコドの顔の傷が増えてるけど・・・・約束したよね?やり過ぎないって」

そこで母さんはギクッ!とあからさまな反応をして

「え、ええっとね・・・・その・・・・やり過ぎちゃいました」

「後できっちりお仕置きね」

僕もソラも母さんもあの顔だけは忘れることができないだろう
仏の皮をかぶったなんちゃらとは父さんにぴったりなのだと
そう言える笑顔だった


数分後島中に母さんの悲鳴・・・・・・?
が響き渡った


続く
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