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白椿、ツバキ科ツバキ属の植物で花言葉は「理想の愛」「完全な愛らしさ」

椿は武士にとって縁起が悪い物と言われることがあるがそれは間違いで本来は人気があった花

今のように縁起が悪い、というのは椿人気を妬んだほかの花の愛好家が流した嘘とか嘘じゃないとか


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深夜3時

ソランはふと目が覚めたので光白椿を片手に砂浜へと出た
もう12月初旬だというのに日中だと23℃あるのは流石沖縄というべきか

海風がソランの長い髪を静かに揺らしていた

聞こえるのは波音と風に揺れる枝の音

-技、この刀を操る私自身の腕

集中する、カキンと鞘と鍔を固定している金具が外れる

-誇り、ジーバルスの名を持ったことを

カキンと2つ目の金具が外れる

「・・・・・はぁ」

ため息を付く、少しして金具は2つとも元に戻った

「あと一つ、何だろう?覚悟・・・・は決めてるはずなのに」

少しふてくされた様に砂浜に座る、ついでにぷくーと頬をふくらませた
隣にハイコドが・・・いや緋音もだろう。居たら頬をつんつんと突付くだろう

一つはここに来る前にすでに解除できるようにはなっていた
ここに来て緋音に叩きこんでもらったことで剣術もまともになった

誇り、技、と来ればあとは覚悟か他のものか

「はぁ・・・・」

ため息しか出てこない

「もしかしたら、覚悟の種類が違うのかな」

今までは戦う覚悟で考えてきた、けれど・・・もしそうじゃなくて
殺す覚悟なら
それは試したことが無かった

-やってみよう

そう思ったときには体はすでに立ち上がって構えていた
1つ、金具が外れる 2つ、金具が外れる

目の前に殺したいと思う敵をイメージする
・・・試しにハイコドに近寄る泥棒猫をイメージする
更に偶然その女とハイコドが手をつないでいたら

-殺したい、ハコを!
おいこら待て

パキン

軽い金属の音が鳴り、3つ目の金具が外れた

「!、やった!」

少し興奮しているのが自分でもわかる、無理もない父親から渡されて早1ヶ月半
ようやくその刀身を見ることができるのだ
ソランは抜刀し、そのまま気を失った

気を失う直前、ソランは自分の腕から炎が出ているように見えた
____________

「う、うーん・・・」

目を閉じていても何かが眩しく感じる
すこし寝ぼけたままではあるがそれが朝日の眩しさだと分かった

「いけない・・・寝ちゃったんだ・・・はっ!白椿は!」

抜刀した瞬間に気を失った事を思い出したソランは慌てて光白椿がどこにあるか確認する
自分の周りをキョロキョロと見回すと地面に刺さっている刀と転がっている鞘が見つかった

刀身を見る前に気絶したため刀身を見るのは初めてだが柄を見るかぎりこれが光白椿で間違いがなかった
-あれ?鞘って黒色だったよね?
転がっている鞘は純白に花・・・椿のワンポイントが彫られていた

とりあえず刀をそのままにするのはマズイので(刃物的にも潮風的意味でも)
鞘を拾うために左手を伸ばしたが、ふと目に入った自分の腕をみて固まる

「・・・・え?」

ソランの腕(見えている限りだが)に肌とは対照的な黒い痣のようなものが浮かび上がっていた

「・・・なに・・・これ」

____________


目覚め方はここ数日同じ方法だ

「いてぇ」

ゲシゲシと母さんが人の布団にまで入ってきて図々しくも元々入っていた僕を蹴飛ばして布団を強奪するのだ

よって蹴りによる頭部又は脇腹に来る痛みと布団から追い出された肌寒さで目覚める
全くもって父さんはこの寝相最悪女とどんなふうに眠っているのか気になる


「・・・・考えたら僕の抱枕の刑も似たものだよな。結局は遺伝か」 

とりあえず自問自答が終了した所で頭も目覚め、ソラが居ないことに気づいた
腕時計を見ると午前7時ちょい
昨日は母さんに60km(水分休憩以外何も無しな上に砂浜)を走らされ満身創痍だったからか熟睡してしまったようだ

腹の虫がなにかくれと騒がしく暴れる
とりあえず鳥の干し肉を口に入れて朝ごはんまでの繋ぎにしておく

そしてソラを探して砂浜へと移動した
予想通りソラは砂浜に居た、けれど様子がおかしかった
僕からはソランの長い髪と背中しか見えなかったが泣き声がかすかに聞こえた

「ソラ、大丈夫?」

ソラはビクッと肩を震わせるとこっちを見ないまま全力で逃げてしまった

「はい!?ちょっと待ってよソラ!」

何故に逃げる!?何かしたか僕!?
とりあえず追いかけながらここ数日でソラに逃げられて泣かれるようなことはしなかったか思い出そうとしたが

何もなかった

だが強いて言うならちょこちょこと母さんと僕の間で繰り広げられている嫌がらせ合戦だろうか!?
インスタントスープの具を相手に気付かれない程度に少なくしたりトーストに塗るバターの量を減らして自分の方に回したりとか!
もしかしていつかは夫になる相手とその母親の醜い争いを見て私はこんな男と結婚して大丈夫だろうか、姑嫁問題が発生しないか、と危惧して泣いていた所を僕に見つかり思わず逃げたのだろうか!?

とにかく謝るしかねぇ!!!

「ソラ!ごめん、なんかいつも僕と母さんの醜い言ったらアレだけど、争いとか見せて!ほんとごめん!」

するとソラは走るのを止めてこっちを見ないまま話し始めた

「・・・違うよ、そうじゃないの」

その声は小さくて、触れたら今にも消えそうなくらい脆そうな声で

「私の顔を見てもさ・・・びっくりしないでくれる?」

「?」

何を言いたいのかよく分からなかったけど

「うん、大丈夫」

そうとしか言えなかった
ソラは後ろ向きのままこっちに近づいて、僕の数m前で止まってくるりとこっちを向いた

目は何度も泣いたのか赤くなって、目を引いたのは左頬の痣
まるで炎のような漆黒の痣からは気のせいだろうか青黒い炎がちらついたように見えた

「あはは・・・変でしょ?この痣」

無言で首を横に振る

「だってさ、女の子なのにこんなの・・・」

痣を見て何で逃げたのか、泣いていたのか理解できた
これが、まだ僕とかならいいだろう
すでに傷だらけだし痣の一つや2つどうということはない
けどソラは女の子だし、それに痣は一つや2つではない
見える範囲だと左手もそうだし首にも痣が見えた

なんて言えばいいのかとかどうしようとか考える前に体は勝手に動いて、口も勝手に動いていた
ただうつむくソラを抱きしめて、静かに言った



「・・・ソラ、結婚しよ?まだ学生だから卒業するまでダメだけど卒業したらさ」


・・・・・うん、なぜそんな言葉をここで口走りやがった自分
抱きしめてお互いの顔が見えないからいいものの顔から火が吹き出るぞ
やばい本気で数秒前の自分を殴りたくなってきた

「ぷっ・・・・あはははははは!」

「ソ、ソラ?」

ソラは少しの間笑い続けて、抱きしめるのを止めても腹を抱えて笑っていた

「だ、だって・・・・・ここでそれを言うかな君は・・・あはははは!」

「しょうがないでしょ!今に死にそうな顔してたんだし!というか自分でもどうして言ったのか分からないよ!」

とりあえず笑い済んだのかソラはぺたんと木にもたれかかった

「あー、可笑しかった・・・・・ん、いいよ」

「何が?」

「だからプロポーズ受けるよ、よろしくね」


・・・・・なんか成功してるんですけど

「あー、うん・・・・よろしく」

言い出した本人がこの状況分かっていないんですが

「それにしてもどうしようかおばさま・・・じゃなくて義理母さんか、に説明するの」

「えっ、あっ・・・・・やっぱ取り消し、もた今度言い直しゅ」

キョドりすぎて噛んでしまった、それにソラもすんごく膨れてる
するとソラがもたれていた木の枝からいきなり

「男に二言はねーだろ、というかそれは男としてサイッテーだぞ我が息子よ」

ガサッという音と共に樹の枝に両足で器用にぶら下がって左手には光白椿、右手ビデオカメラを持って母さんが現れた
流石にビビる

「いきなり出てくるな!心臓止まるかと思ったわ!」

「おばさま、おはようございます」

「あー、いいよいいよソランちゃん。義理母さん・・・いや、いっそ義理も付けないで母さんでお願い」

ぶら下がり状態の母さんのキランと目が光った
おいこらこの野郎、勝手に話を進めるな
ツッコんでやろうと思ったら先手を取られた

「それにしてもなかなかいいタイミングで言うよなお前もー、・・・・結婚しよ?だってー!かははははは!」

ご丁寧に声マネまでやっていただきました。ホントウにありがとうございます

「あ、それと1から10まで録画してるから」

追撃が見事すぎて言葉が出ません

「ちなみにすでに告白の瞬間をミントに送信済み」

サイコキネシスで浮かんでいる携帯には送信済みの文字
ホントオミゴトスギテナニモイエナイデス

「わ、わやだ・・・」

このセリフを言うのはどれくらい久しぶりだろうと思える余裕ができたのはその日の夜になる
もはやこの時点でいじられるネタは120%以上最悪な相手に渡してしまったので放心状態になりかけていた

「あ、そうだソランちゃん」

「なんですか、お母様」

あぁ、乗っかるのねソランサン

「その痣だけど、消せるぞ?」

「んなっ!?」

流石に放心状態になりかけていた僕もそれには反応する
ソランも真剣な顔つきになる

「どうすれば消えるんですか!」

「こーする」

そう言うと母さんはなんてこと無く光白椿を鞘に収める
するとソランの痣が鞘に吸い込まれるように移動した
ソランは手鏡で顔を見て、腕を見るがどこにも痣は残っていなかった

「・・・・・・・・・・・・・・・・えー」

その簡単な解決法に思わず中点を16個も使ってしまった
そんな簡単なことのために僕はプロポーズという人生最大の切り札もといイベントを終了させてしまったのか?

「そんなのって無いよ・・・せめてもっとロマンチックにとかさ、そういうの有るじゃないか」

がっくりうなだれることしかできないです
もうショックで寝込みそうです
砂浜に思わずのの字を大量生産する

「かはははは、いいじゃんか変にドギマギして噛んだりみっともないよりはずっといいぞ。青丹なんか噛みまくったからな?」

すみません、言ったあとに噛みました
それにと母さんは付け足した

「ソランちゃんを見てみろ」

すごく嬉しそうに砂浜を走っていた
髪をなびかせて、海からの反射光でいつもより綺麗に見えた

「幸せにしろよー、ソランちゃん泣かせたら親グループ全員黙ってねえぞ?」

「肝に命じておきます・・・」

それだけは勘弁願いたい、総合80前後4人を相手にしたら命がいくつあっても足りない
そういえば

「何で母さん戻しかた知ってたんだよ」

「だってあの仕組みはセキハが作ったんだもん、聞かされてるよ」

「「え?」」

少し離れていたところに居たソラと見事にハモった
その後、ソラの父さんにソラから『帰ったらぶん殴る』というメールが届いた

光白椿、刀身はソラのおじいさんが作ったものだが鞘と柄、鍔はソラの父さんが作ったもの

ちなみに言い訳を電話で聞いてみたら『だって抜刀したら色変わったり体に模様が出たらカッコイイじゃん』
との事 ・・・・・子どもが男だったらそれでいいが女の子にそれするか?

ともかくソラも目標達成したことだし、これで帰るめどはついたかな
プロポーズは置いておくとして・・・・


____________

夕食時、ふと思い出したようにハコが聞いてきた

「そういえばソラ」

「どうかした?」

「なんだかんだで告白しちゃったけど落ち着いてたよね」

-いえない・・・ここ1週間寝言で結婚しよう、とか言っていたから分かっていたなんて言えない・・・

「だ、だってあのタイミングで言われたら驚くよりおかしく思っちゃうよ~」

魚の塩焼きを一つ食べ終えた所でハコはそうだったかと少し落ち込みながら呟いた
なんでももう少しちゃんとした所で言いたかったらしい
・・・うん、それ私も思った。このままだと結婚式まで無人島でやりかねない

そんな風に考えながら私は黙々と魚とスープを平らげることにした
これから先のことは未来の私に任せよう

今はただこの幸せな気持ちを抱いて眠りにつきたい
そう思ってハコの体に自分の体を預けた

続く
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