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いやー、それにしてもなんというか弱っちいねぇ
こんなのでやっていけるか不安になるよ・・・まったく

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「オ・ノーレ!!!!!」

早朝

拉致られて修行が始まり早10日超え、今日も今日とてハイコドは緋音に海へ投げ飛ばされバシャバシャと泳いで砂浜へ戻っていった

「なーにどこぞの御大将がいいそうなセリフ叫んでんだあんたは」

ハイコドが戻ってくるのを胡座をかいて緋音は見ていた
ちなみに投げ飛ばされるのは今日だけで7回目だ
しかし初回に比べて投げ飛ばされる数は減っていることは確かなのだが、投げ飛ばしている時点で緋音が手加減していることに変わりないためハイコドからすれば何も変わっていないという気持ちになるのだ

「うっさいわ!本気でやっちょるのに軽く海へ投げ飛ばされ続けたら叫びたくもなるわ!」

もはや何弁だよと言いたくなるような喋り方である

「わーかったよ、それじゃ投げ飛ばすのは無しだ」

そう言うと緋音は指をゴキゴキ鳴らし、んーと背伸びをして右手の爪を少し見てから

「殴り合いと行こうぜ」

____________

そこから先は何時ぞやかの親子喧嘩のようだった
ハイコドは避けるか防ぐ事に専念していたが緋音がそれを望んでいないことに気づいた瞬間からひたすら殴り合う状態となった

「このっ!」

ハイコドは鉄パイプ(木刀の代わり)で一文字に殴りつけるが右腕で防がれて左アッパーを左腕で何とか受け止めた
その状態から腰をひねり上げ右足でハイキック

そこまでは緋音も大体読んでおり上半身を後ろに逸らしていなす
しかし、そこで終わりではなかった。
鉄パイプを地面に刺し、緋音のアッパーを抑えた腕を軸として左足も蹴りに使ってきた
いや、厳密には左足を緋音の首に引っ掛け固定、そのまま重力と蹴りの勢いに任せ緋音を投げ飛ばした!

「んなっ!?」

ダメージはほとんどゼロと言っていいもののこれが今日初めて緋音に与えることの出来た攻撃だった

「あービックリした・・・・」

「なんだよびっくりしただけか」

緋音は顔についた砂を叩き落としながら言い、ハイコドは鉄パイプを下段に構えて集中する

しかしその考えは間違いだった、本当なら投げた瞬間に鉄パイプを投げつけるなり魔法を撃つべきだったのだ

(・・・まったく甘いねぇ)

「行くよ!」

砂浜という踏み込みづらく、踏ん張りにくい地形にも関わらず緋音は超感覚とゴットスピードで姿勢低く・・・いや低すぎるくらいの体制でハイコドに突っ込みそのまま低く飛んだ

「木◯葉.......!」

低く飛んだまま・・・いや接近した所で両腕をバネにハイコドの上半身より少し高めまで飛び右足での回し蹴り

「・・・?」

ハイコドは鉄パイプで蹴りをいなすが次の瞬間

「旋風!!」

左足の回し蹴りが脇腹を直撃した
「くっ!?」
そのまま砂浜を転がる様に飛ばされるハイコド
緋音も突進した勢いを殺さず砂浜を前転するような形で体制を立てなおした

「へっへー、どうよ」

「どうよ・・・じゃないだろうが・・・まだ使ってたのかよ漫画拳法」

「漫画拳法言うな、見様見真・・じゃなかった竜螺幻想流と言え」

「今明らかに見様見真似技って言おうとしたよな!?」

「細かいことは気にすんなよー、使える技なんだからいいじゃん」

ここまで来れば分かる人も多いと思うが、緋音の使う技は大抵が漫画とかアニメの技なのだ
(一度大雪山おろしとかやろうとしたが腕の長さが足りなくて失敗したが)
ハイコドからすればそんなのに竜螺というのを使わないで欲しいのだ

・・・でも結構強いから文句が言い難い

「って、話してないで続けるぞ馬鹿息子!」

言い終わるが早いか今度はジグザグに突っ込んでくる

「流石に仕掛けるか・・・」

今度はハイコドも前進して左上段から振り下ろす
振り下ろされた鉄パイプを緋音は見向きもせずただ体をひねるだけで避ける

「ちゃんと避けろよぉ!」

体を捻った動きをそのままに両腕を目一杯広げ腕を振り下ろした
その時ハイコドの目に爪がやけに太陽の光を反射するな・・・と考えていた
契約者で良かったのだろう、なんとなく『受け止める』ではなく『避ける』を選択した

避けた時に緋音の爪が鉄パイプに当たり

鉄パイプが全体の三分の二ほど縦に五等分された

「はいぃ!?」

「だから避けろって言ったろ?」

ニシシと笑いながらファイティングポーズを取る緋音
何が起こったかいまいち分からずとりあえず離れる

「・・・・・・・・・・・・・なんなのその爪」

「いいだろ?ティアマトの鱗をネイルに使ってみました」

危険度MAXのネイルである

「危険過ぎるだろ!暗器にしては最高かもしれないがこんな時に使うなよ!?」

ちなみに鱗が使われているのは中指、人差し指、薬指の三箇所

「だったら私を倒しな!」

流石に喰らったら切り傷どころでは済まないので避けるしか無い
それでも着けているのは右手だけなのでまだ何とかなる
それは体格差のお陰でもあった

「ほらほらほら!」

「あーもう・・・・しつこい」

____________

「よーし、今日のノルマクリアっと」

場所は変わって無人島の居住区(?)
ソランは剣術稽古と一緒に今日のごはんを確保していた

とはいってもコンテナの中の肉や魚を自然解凍させるだけだが

「これだけあれば今日はいいかな?」

食材をいつも置いている所に置き、ハイコド達を探すことにした

「多分いつものところかな?」

探すとすぐに見つかったが邪魔をしては悪いと思い、岩陰に隠れることにした

____________

「それじゃ行くぞー!一喰い!」

体がねじ切れるのでは無いかと言いたいくらい腰を回転させて腕を鞭のように使う技
・・・・というか遠心力をフルに使った張り手なのだがランスバレストを使っているので威力はかなりある

とりあえず避けれる様になったのでこの攻撃も避けようとて斜め後ろを確認した

「ん?」

視界の端にぴょこと顔を出してこちらを見ているソランが見えた

あとで分かったことだがこの時ハイコドが影となってソランからは緋音が見えておらず、質の悪いことに緋音が一切の殺気を出していなかったせいで殺気看破も発動しなかった

しかも、緋音の進行方向上にはソラン
こちらも気づいていなかった

受け止めるしか無かった
緋音の腕を抑えたがそれでも勢いは止まらず


ティアマトの鱗はハイコドの右頬を抉った
緋音も何故ハイコドがそうしたか分からず、ソランも何が起こったのか分かっていなかった

砂浜にハイコドの肉片が落ちる

ボタボタと血が流れ落ちるがハイコドは気にもとめずヒールをかけて止血する

「やっぱ修行はこうでないとな」

一言つぶやき両足で食い付くように緋音の腕を挟み
「BEAST」
体を思いっきり肘と逆関節にまわし、折ろうとした
「BOR....」

「ハコ」

静かに、暗く小さくつぶやかれた自分の名前を聞いてハイコドは動きを止めた
砂浜に雑に座ったハイコドは自分を見るソランを見た

「だめだよ、そういう事しようとしたら」

「どういう経緯であれ僕が避けたらソラが危なかった」

「それならハコがヒールをかけた時点でおしまいでしょ?」

「じゃあいつもの仕返しということで」

「じゃあって何よじゃあって、理由をすり替えないでよ」

「・・・・・怒ってるのか」

「怒ってない」

「怒ってるよ、尻尾がそう言ってる」

よく見るとソランの尻尾や耳の毛が逆立っていた、ネコのように

「私はね・・・・・あぁもう!」

「おーい、そっちこそ話すり替えようとするなよ。怒ってるでしょ?」

完全に二人の間の空気がどす黒くなっていく
緋音は耐え切れず口を挟む

「あー、ちょっとい...」

「「母さん(おばさま)は黙ってて!」」

「はい....」

普段からすれば考えられない状態だった
緋音が縮こまり、ハイコドとソランが喧嘩している
レア過ぎる光景だった

結果として緋音が土下座して慌てた二人が喧嘩を止めた、という事になった

____________

その日の夜ー石風呂

「それにしても・・・傷が増えた」

川の水を掘ったくぼみに入れ、焼き石を投げ入れて作ったフロの中で手鏡で自分の顔を見たハイコドはため息をついた
傷自体は回復魔法でふさがっており、触っても痛くないのだが
右頬に三本の引っ掻き・・・と言うよりえぐれた傷が残ってしまった

「ふふふ、私は気にしないよ」

向かい合うようにちょこんと座るソランはペタペタとハイコドの右頬を触っている

「流石にこれ以上増えるとどっかの傷を自慢にする軍人さんみたいになるっさ・・・・」

「えー、だって他の女が近づかなくなるでしょ?」

「そこですかソランさん・・・」

ハイコドが胡座をかいてそこにソランがちょこんと座って尻尾を腰に巻きつけてきた
お返しとばかりに耳を甘噛みする

そんな風に二人はいちゃついていた



「・・・くっそー、いちゃつきやがって」

緋音は罰として石を焼かされていたとさ

続く

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