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「シンクー、コハクー、げんきかー?」
店の整理も終わった休日の午後、ハイコドは我が子の眠るリビングのベビーベッドを覗く。
だが何かおかしかった。
「・・・ん?」
コハクがタオルケットを掴んで眠っているのはいい。
だがその隣で小さな黒い狼が丸まってすやすやと寝息をたてて眠っていた。
一瞬思考が停止する、あれ?おかしいな?と。
とりあえず匂いを嗅ぐ、うん息子のだ。
もう一度よく見ると前髪?らへんに赤のメッシュが入っている。
となるともう考えられることは一つしか無い。
「獣化?」
とりあえず息子?が寝ていることを改めて確認してソランの部屋へ向かう。
以前獣化ができるようになるのは何時からなのか?とミント・・・ソランの母に聞いた時は1歳ぐらいからと返答されていたため対応を全く知らなかったのだ。
それならば妻が何か知っているかもしれないとすたこらさっさと歩き出す。
2階へ向かうため階段を登り扉を開け、廊下に出て右に曲がってすぐの扉、ソランの部屋の前に立つ。
いや、訂正しよう。
今はソランとニーナが二人で使っている部屋だ。
初めは1階にある客間(和室)をハイコドの部屋にしてハイコドが居た部屋をニーナに渡そうとしたのだが
『あぁ、いいよお姉ちゃんと私で一部屋使うし。お客さんが来た時に客間必要でしょ?』
と言われニーナもそれでいいと言ったので現在はそのような状態になっている。
「ちと狭くなってきたかなぁ」
元々いさり火は古ぼけた宿屋をハイコドの母、緋音達が有り余った金で自分達の拠点として使ったり子供たちがシャンバラに来た時のためということでリフォームした物件だ。
緋音達が使っていた時は4人、この広さなら拠点として家として十分すぎる広さだろう。
しかしハイコド達は違う、2人が3人、4人が5人、6人に子供たち2人、トドメに7人目。
ソイルがヒラニプラで機晶石堀りのバイトをしていて普段家に居ないとは言え厳しくなってきたのは事実だ、そのうちどうにかしないとなんて事をハイコドは考えた。
コンコンと扉をノックする。
「いいよー!」
ソランの元気な声が部屋の中から聞こえる。
妻の部屋なのだからノックしなくてもいいと思うだろうが以前ちょっとしたトラブルが有りそれ以来ノックを欠かすことは無くなった。
ドアノブを回し部屋の中に入る。
「いだだだだだだだ!ギブ!ギブギブ、ギィブゥ!!!」
部屋の中ではソランがニーナにアルゼンチン・バックブリーカーを見事に極められていた。
※こういう技デス http://souku.jp/personal/album_view/SFM0038328/bu00223241
無言で無表情でハイコドは扉をゆっくり閉める。
いや、だれだってそうなるだろう。
妻が姉(自分の妻候補)にプロレス技を掛けているのだ、ドヤ顔で楽しそうに。
しかもご丁寧に下半身側を自分に向けて見せびらかすように、ドヤ顔で楽しそうに。
大切なことなので二度言いました。
中からニーナの悲鳴が聞こえる、正直あの状態のソランに近づきたくない。
だがしかし、息子の事があるのでもう一度開ける。
「・・・・・・・・・もういや」
泣きぐずったニーナの声が静かに部屋の中に響く。
ついでに言うとこの数瞬の間にどうやったのか今度はロメロ・スペシャルを極められていた。
しっかりと下半身をこちらに向けて。
「どうして君はそーして恥ずかし固めばかりやるのかね」
とりあえず突っ込まずには居られなかった。
というかまずは止めるように言わないのか。
「ヤダなぁ恥ずかし固めっていうのはレッグスプレッドって言って股を全開に開脚させて股関節にダメージを負わせる技だよ。あとはキン肉バスターとかそういうのも含まされてるね」
「真面目に返答しないでよろしい、ニーナが痛そうだからやめなさい!」
「ぷぇー」
口を3の字にして名残惜しそうにニーナを優しく下ろす。
ニーナはぐったりとしながら全身から汗を流している、どれほどの時間技を極められ続けていたのだろうか、想像したくない。
「い、いいの・・・私がソラにサブミッションを教えてほしいって頼んだから・・・」
息も絶え絶えにニーナが返事をする。
肘で体を支え寝たまま体を何とか起こす。
「・・・いや、戦いの時に使うのはそーいう技じゃないから、アームロックとか立ったまま使う技だから」
「途中から趣味が混ざりこんじゃいました☆」
(・ω<)ゝテヘペロ とでも言いたそうにソランが言う。
「混ざってない、混ざってない、100%無添加無農薬の趣味全開だから。でもって姉に対してやることじゃないから」
「いやぁ、なんていうかね?お姉ちゃんの苦しそうな声聞いていたらね・・・滾っちゃt」
「ニーナ、大丈夫か?そんな状態で悪いんだけどちょっと聞きたいことがあるんだ」
「あ、うん・・・何かなハコくん」
妻の発言は無視して立てなさそうなニーナをお姫様抱っこで部屋から出す。
「ちょ、ちょっと待ってよー!お姫様抱っことかずるいよー!」
その後をすぐソランも追う。
さて、漸く本題に戻った。
・
・
・
「あらま、見事に獣化してるわね」
今度はお腹を見せながらコロンと寝ている息子をソランはじっと観察する。
するとハッとした顔をしてすぐに2階へ駆け上がっていってしまった。
ハイコドとニーナは ん? と顔を見合わせる。
「写真取らないと!息子の初獣化!」
音もなく戻ってきたソランがスマホのカメラを起動させパシャパシャとシャッターを切る。
ハイコドにはよくわからないが獣人にとって獣化出来たことは寝返りやハイハイ、初めて喋ったとかそういう事に相当するイベントのようだ。
「あぁそうね!お母さん達に教えないと!」
ニーナも自分のスマホを取り出し写真を撮る。
「かわいい~、流石私の息子だわ~。お姉ちゃん、お母さんには私から送っとくね」
「わかったわ、ハコくんどう?」
「かわいい・・・ってそうじゃなくて、これ大丈夫なのか?獣化するのって1歳くらいからだって聞いたけど?」
「あら、それは目安よ。別に早くてもおかしくないよ、私はそれこそお姉ちゃん死んでから獣化というか耳が出てきたし」
「ふぅん・・・そういうものか」
それならば安心だとハイコドは改めてシンクとコハクを見る。
眺めていたらうるさかったのかシンクが目を覚ましキョロキョロと周りを見始めた。
ビー玉の様なきれいな瞳が三人を見つめる。
「おはよう、シンク。ゴメンようるさかったかい?」
ハイコドは我が子の小さな頭を指先で優しく撫でる。
それが気持ちいいのか目を瞑りくるるとか細く鳴く。
「ハコ、今鳴いたね」
「あぁそうだね・・・あ、見て」
シンクは寝返りをうってうつ伏せになった後、ゆっくりゆっくりと立とうとした。
「がんばれ・・・」
「がんばって・・・」
プルプルと弱く、生まれたての仔ヤギの様な状態で懸命に立とうとしている。
手を差し伸べて手伝いたい、しかしそれはこの子のためにならない、そう2人は思っていた。
獣人という人の子でありながら獣であるからこそ、一人で立って欲しかった。
しかし、パタリと寝転がってしまう。
その後はまた夢の中へと入っていった。
「頑張ったね、まだ先はあるよ・・・ゆっくり行こう」
息子の頭を優しく撫でる妻の隣で夫はそう呟いた。
「ふふっ」
そんな2人の背中を見ながらニーナは2人が気づいていない来客のベルがなった店へと向かう。
もしも自分がハイコドと結婚したとしたら妹の立ち位置に自分が居て、あぁやって子供の成長を見守るのだろうか。
ちょっとした寂しさと苦悩と明日への幸せを感じながらニーナはこう言った。
「いらっしゃいませ!雑貨「いさり火」へようこそ!」
おしまい
店の整理も終わった休日の午後、ハイコドは我が子の眠るリビングのベビーベッドを覗く。
だが何かおかしかった。
「・・・ん?」
コハクがタオルケットを掴んで眠っているのはいい。
だがその隣で小さな黒い狼が丸まってすやすやと寝息をたてて眠っていた。
一瞬思考が停止する、あれ?おかしいな?と。
とりあえず匂いを嗅ぐ、うん息子のだ。
もう一度よく見ると前髪?らへんに赤のメッシュが入っている。
となるともう考えられることは一つしか無い。
「獣化?」
とりあえず息子?が寝ていることを改めて確認してソランの部屋へ向かう。
以前獣化ができるようになるのは何時からなのか?とミント・・・ソランの母に聞いた時は1歳ぐらいからと返答されていたため対応を全く知らなかったのだ。
それならば妻が何か知っているかもしれないとすたこらさっさと歩き出す。
2階へ向かうため階段を登り扉を開け、廊下に出て右に曲がってすぐの扉、ソランの部屋の前に立つ。
いや、訂正しよう。
今はソランとニーナが二人で使っている部屋だ。
初めは1階にある客間(和室)をハイコドの部屋にしてハイコドが居た部屋をニーナに渡そうとしたのだが
『あぁ、いいよお姉ちゃんと私で一部屋使うし。お客さんが来た時に客間必要でしょ?』
と言われニーナもそれでいいと言ったので現在はそのような状態になっている。
「ちと狭くなってきたかなぁ」
元々いさり火は古ぼけた宿屋をハイコドの母、緋音達が有り余った金で自分達の拠点として使ったり子供たちがシャンバラに来た時のためということでリフォームした物件だ。
緋音達が使っていた時は4人、この広さなら拠点として家として十分すぎる広さだろう。
しかしハイコド達は違う、2人が3人、4人が5人、6人に子供たち2人、トドメに7人目。
ソイルがヒラニプラで機晶石堀りのバイトをしていて普段家に居ないとは言え厳しくなってきたのは事実だ、そのうちどうにかしないとなんて事をハイコドは考えた。
コンコンと扉をノックする。
「いいよー!」
ソランの元気な声が部屋の中から聞こえる。
妻の部屋なのだからノックしなくてもいいと思うだろうが以前ちょっとしたトラブルが有りそれ以来ノックを欠かすことは無くなった。
ドアノブを回し部屋の中に入る。
「いだだだだだだだ!ギブ!ギブギブ、ギィブゥ!!!」
部屋の中ではソランがニーナにアルゼンチン・バックブリーカーを見事に極められていた。
※こういう技デス http://souku.jp/personal/album_view/SFM0038328/bu00223241
無言で無表情でハイコドは扉をゆっくり閉める。
いや、だれだってそうなるだろう。
妻が姉(自分の妻候補)にプロレス技を掛けているのだ、ドヤ顔で楽しそうに。
しかもご丁寧に下半身側を自分に向けて見せびらかすように、ドヤ顔で楽しそうに。
大切なことなので二度言いました。
中からニーナの悲鳴が聞こえる、正直あの状態のソランに近づきたくない。
だがしかし、息子の事があるのでもう一度開ける。
「・・・・・・・・・もういや」
泣きぐずったニーナの声が静かに部屋の中に響く。
ついでに言うとこの数瞬の間にどうやったのか今度はロメロ・スペシャルを極められていた。
しっかりと下半身をこちらに向けて。
「どうして君はそーして恥ずかし固めばかりやるのかね」
とりあえず突っ込まずには居られなかった。
というかまずは止めるように言わないのか。
「ヤダなぁ恥ずかし固めっていうのはレッグスプレッドって言って股を全開に開脚させて股関節にダメージを負わせる技だよ。あとはキン肉バスターとかそういうのも含まされてるね」
「真面目に返答しないでよろしい、ニーナが痛そうだからやめなさい!」
「ぷぇー」
口を3の字にして名残惜しそうにニーナを優しく下ろす。
ニーナはぐったりとしながら全身から汗を流している、どれほどの時間技を極められ続けていたのだろうか、想像したくない。
「い、いいの・・・私がソラにサブミッションを教えてほしいって頼んだから・・・」
息も絶え絶えにニーナが返事をする。
肘で体を支え寝たまま体を何とか起こす。
「・・・いや、戦いの時に使うのはそーいう技じゃないから、アームロックとか立ったまま使う技だから」
「途中から趣味が混ざりこんじゃいました☆」
(・ω<)ゝテヘペロ とでも言いたそうにソランが言う。
「混ざってない、混ざってない、100%無添加無農薬の趣味全開だから。でもって姉に対してやることじゃないから」
「いやぁ、なんていうかね?お姉ちゃんの苦しそうな声聞いていたらね・・・滾っちゃt」
「ニーナ、大丈夫か?そんな状態で悪いんだけどちょっと聞きたいことがあるんだ」
「あ、うん・・・何かなハコくん」
妻の発言は無視して立てなさそうなニーナをお姫様抱っこで部屋から出す。
「ちょ、ちょっと待ってよー!お姫様抱っことかずるいよー!」
その後をすぐソランも追う。
さて、漸く本題に戻った。
・
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「あらま、見事に獣化してるわね」
今度はお腹を見せながらコロンと寝ている息子をソランはじっと観察する。
するとハッとした顔をしてすぐに2階へ駆け上がっていってしまった。
ハイコドとニーナは ん? と顔を見合わせる。
「写真取らないと!息子の初獣化!」
音もなく戻ってきたソランがスマホのカメラを起動させパシャパシャとシャッターを切る。
ハイコドにはよくわからないが獣人にとって獣化出来たことは寝返りやハイハイ、初めて喋ったとかそういう事に相当するイベントのようだ。
「あぁそうね!お母さん達に教えないと!」
ニーナも自分のスマホを取り出し写真を撮る。
「かわいい~、流石私の息子だわ~。お姉ちゃん、お母さんには私から送っとくね」
「わかったわ、ハコくんどう?」
「かわいい・・・ってそうじゃなくて、これ大丈夫なのか?獣化するのって1歳くらいからだって聞いたけど?」
「あら、それは目安よ。別に早くてもおかしくないよ、私はそれこそお姉ちゃん死んでから獣化というか耳が出てきたし」
「ふぅん・・・そういうものか」
それならば安心だとハイコドは改めてシンクとコハクを見る。
眺めていたらうるさかったのかシンクが目を覚ましキョロキョロと周りを見始めた。
ビー玉の様なきれいな瞳が三人を見つめる。
「おはよう、シンク。ゴメンようるさかったかい?」
ハイコドは我が子の小さな頭を指先で優しく撫でる。
それが気持ちいいのか目を瞑りくるるとか細く鳴く。
「ハコ、今鳴いたね」
「あぁそうだね・・・あ、見て」
シンクは寝返りをうってうつ伏せになった後、ゆっくりゆっくりと立とうとした。
「がんばれ・・・」
「がんばって・・・」
プルプルと弱く、生まれたての仔ヤギの様な状態で懸命に立とうとしている。
手を差し伸べて手伝いたい、しかしそれはこの子のためにならない、そう2人は思っていた。
獣人という人の子でありながら獣であるからこそ、一人で立って欲しかった。
しかし、パタリと寝転がってしまう。
その後はまた夢の中へと入っていった。
「頑張ったね、まだ先はあるよ・・・ゆっくり行こう」
息子の頭を優しく撫でる妻の隣で夫はそう呟いた。
「ふふっ」
そんな2人の背中を見ながらニーナは2人が気づいていない来客のベルがなった店へと向かう。
もしも自分がハイコドと結婚したとしたら妹の立ち位置に自分が居て、あぁやって子供の成長を見守るのだろうか。
ちょっとした寂しさと苦悩と明日への幸せを感じながらニーナはこう言った。
「いらっしゃいませ!雑貨「いさり火」へようこそ!」
おしまい
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