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皆さん、絶対覚えていないだろう・・・・というか覚えていたらある意味おかしいです
そんな設定についてのSSです


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目の前が真っ暗だ
ここは闇の中、夢のなか
俺が目をつぶる以外で唯一闇を知ることが出来る場所
心落ち着くかといえばそうではない
何か物足りない
・・・寂しい、一人は嫌だ
誰かいないだろうか?
ソラ?ニーナ?信?風花?エクル?ソイル?
誰かいないか?そう叫ぶけど誰もいない
とにかく手をのばす





「うにゃぁ・・・」

「ソラ、ハコくん大丈夫なの?苦しそうな顔してじたばた暴れてるけど」

ハイコドの部屋、部屋の一角が動物のぬいぐるみで埋め尽くされておりとても成人男性の部屋とは思えないファンシーな部屋。
ぬいぐるみ一つ一つに埃が付いていないのが筋金入りのぬいぐるみ好きであることを証明している。
夜、そんな部屋の中で姉妹がハイコドの寝姿を見ていた。
一人は心配そうに寝ているハイコドを見ている、もう一人は真逆にその姿を見て微笑んでいる。
ニーナとソラン、ジーバルス姉妹だ。
ソランが心配そうにする姉にあっけらかんと言う。

「大丈夫よ、今何か抱きしめる物がないか探してるだけだから」

「抱きしめる物?」

ニーナはよく判らず妹に聞き返す。

「ハコは寝る時何か抱きまくらにしないと寝てる時暴れるのよ、普段は私とか自分の尻尾をだきまくらにしてるけど・・・今日はお姉ちゃんにやってもらおうかと思ってね~」

一瞬考えた、抱きまくらになるということは一緒に寝るということだ。
抱きしめられて心臓の鼓動を聞いたり否が応でも匂いを嗅ぐことになる。

「ソラ、それって・・・」

そこまで言った所でニーナは妙な浮遊感を感じた、次の瞬間背中に柔らかい感触が広がる。

「ほえ?」

目の前には隣にいたはずの妹の顔、背中は弾力のある・・・ベッドの感触。
一瞬間を置いて漸く気づく、自分は投げられてベッドに乗せられたのだと。
いたずらする時の含みを込めた笑顔で妹が言う。

「それじゃお姉ちゃん、夜をお楽しみください~♪」

「ちょっと!?ソラッ!?」

さっさと扉を開けて部屋から出て行ってしまうソラン、その後を追おうとベッドからお利用とした瞬間、腕を掴まれた。

「?」

くるりと後ろを向くと自分の腕をしっかりと掴むハイコドの姿が。
そして次の瞬間。

「きゃっ!?」

布団の中に引きずり込まれ両腕を、というか胴体ごと足でホールドされ逃げ出せなくなる。
あまりの速さにこれまた意識が追いつかない。

「むにゃ・・・・むふぅ・・・」

ハイコドの腕(というより寝る時は左腕を外しているため右腕だけ)は逃さないと言いたげにニーナの頭を抱きしめるようにホールドする、そのせいでニーナはハイコドの胸に頭を押し付けるような形で逃げ出せなくなってしまう。

抜けだそうとするが寝ているとは思えないほどの力がかかり抜け出せない、しかし痛くも苦しくもない。
だが捕まっている本人はそんな事どうでも良かった。

「これ・・・は・・・」
(いやでもハコくんの匂いを嗅いでしまうっ!?)

「すぅ・・・・ふぅ・・・・」

(逆にこっちの匂いを嗅がれてる!?)

恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になって自分でも顔が熱くなるのがわかってしまう。

「でも、仕方ないよね?」
そう、これは妹の策略だ、仕方ないのだ、そう仕方ないシカタナイ。
狼なのだから相手の匂いを嗅いでドーコーするのは当たりまえだ。

くんくん、すぅ・・・はぁ・・・

母や妹とは違う匂い、そう...父の様な男らしい匂い。
幼い頃遊んだ時とはまた違う匂い。

「ハコくん大人になったんだなぁ」

どうしても10数年前の幼い頃の姿を思い浮かべてしまう。
顔の傷が左目の傷しか無くてまだ獣の耳も尻尾もなかった頃。
自分や妹と同じようにやんちゃに公園の遊具や森の木で遊んだあの頃を。

なんとか左腕を拘束から抜けださせ自分のほぼ真上にある顔の右頬をそっと触る。
布団の中だから見えはしないけどたしかにそこには抉れた傷跡が三本。

「・・・」

同じように右腕も拘束から抜け出し、ハイコドのあるだろう左腕の場所を触る。
そこには何もなく、寝間着の上から分かる義手の接続部を保護するプラスチックのカバーの堅くて冷たい感触だけが指先に伝わる。

どれほど苦しかったのだろう、どれほど痛かったのだろう。
妹はどれほど泣いただろう、緋音さんはどれほど苦しかっただろう。
なぜ・・・
自分はこの人と一緒に泣いたり悲しんだり苦しい思いを出来なかったんだろう。

生き返ってみたら全ての環境が変わった。
生まれ育った故郷はそこそこの近代化をしていて道路は舗装されて、いくつかの家はログハウスからよくある一軒家になっていて、刀も通常販売分はいくらか機械化しており、昔は魔術を取り込んだ刀のみだったのが機械式を取り込んだ物を作られていた。
世界も言葉に出来ないほど変わっていて正に浦島太郎状態だった。
愛しいこの人も幼い頃と比べ変わっていた、母も振る舞いに何処か影がある。
妹は・・・西瓜の様な胸が苛つくので放っておく事にする
変わっていないのは自分だけだ、これ以上取り残されたくない。

ぽたり、ぽたりと何かが落ちる音がする。
それが自分の目から落ちる雫だと気づくのにしばらく掛かった。

「私・・・戻ってきてよかったのかなぁ・・・」

「ニーナ」

突然聞こえた声にはっと顔を上げる、だが暗闇で顔を見ることが出来ない。

「君は戻ってきてよかったんだよ、僕が断言する」

「でも、私が居るせいで族長に・・・」

表情を見ることは出来ない、でも優しい声が耳にスッと入ってくる

「それは時間をかけて話し合っていこう、君に再び会ってすぐ後・・・僕とソラはどうなったか分かるかい?」

首を横に振る

「みっともなく泣いたよ、もう二度と会えないと思っていた人が目の前に現れたんだからね」

「・・・」

「例えどんな困難がこの先遭っても僕らはもう・・・君を手放さない、絶対に」

「も、もぅ///それじゃ告白みたいだよ」

「そう、かもね」

「えっ?」

ベッドがギシッと軋む、隣に居た存在がなくなることに気づく。

いきなり部屋が明るくなり眩しさで目を細める。

「やっぱりどうしても俺は君が好きのようだ」

「ハコくん?」

目の前には上の寝間着を脱ぎ上半身裸になったハイコドの姿。
必要な所に必要なだけ付いた筋肉。
よく見ると体中に細かい傷がうっすらと見える

「すまない、こんな体になってしまって・・・失望した?」

「ううん、かっこいいと思う」

「そう言われると恥ずかしいな」

照れくさそうに後ろを向いて顔を見せない、だが尻尾がゆらゆらと揺れていた。
思わずくすりと笑ってしまう。

「ねぇハコくん、この傷は?」

「ん?えっと・・・デカイトカゲと戦った時の傷」

「これは?」

「・・・・一対一で戦ってた時に横から銃弾叩きこまれた傷」

「・・・首なのによく生きてたね」

「鍛えてるし契約者だし」

「首は鍛えられないよ」

「・・・」

「それじゃ、頬の傷は?」

「うちのバカ親に無人島に拉致されて特訓してる時バカがミスってソラに攻撃が入りそうだったからかばった時に持ってかれたえぐれ傷」

「緋音さん・・・」

それから幾つもの傷の事を聞いた。
ハイコドは覚えている限りの事をニーナに話し、ニーナはハイコドの話を聞いてハラハラしたり、笑ったり、怒ったり。
今までの時間を埋めるように話し合った。

一方部屋の外では、

(あーーー!入りたい!中に入って一緒に話したい!けど今は2人の時間!我慢、我慢するのよソラン!)
ごろごろと悶えるソランが居た。





答え:ハイコドは抱きまくらが無いとまともに寝れない
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