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夢を見ました

-夢?

誰かに抱かれ優しく揺すられる夢なんです

あれは母なのでしょうか?

-そうかもな

そういえば私の本当の両親って・・・誰なのでしょう?

-おいおい、18歳になってその疑問かい

長様がお父さんの様なものでしたから・・・

 

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_____________

あるところにうさぎの獣人の集落がありました

はっきり言って大きくはありません、小さな村です

その集落である男の子と女の子は家が近所同士でした

始めはお友達で始まり、年を重ねて大人になるとある感情が二人に芽生えました

お互いのことを好きになったのです

集落のみんなはそのことを喜び、自然な形で二人は結婚しました

しばらくして子供も生まれて二人は正に幸せの絶頂だったでしょう

しかし、悲劇が起こります

集落に巨獣が現れたのです

何mもの大きさで蜂のような姿の大群でした

あまりに突然で逃げる暇も無く家は壊され、獣人たちは蜂たちに捕食されていきました

体に針を差し毒を体の中に流しこむ

肉を溶かされ、動かなくなった所を巣に運ばれて餌にされるのです
______________

「くそっ!」

一人の青年が襲い掛かる巨大蜂を大太刀で横一文字に両断し頭部を兜割りで叩き割る

村一番の刀使いと言われている青年はここまで来るのに蜂を何匹も倒したが一向に減る様子を見せない

切り落とされた蜂は命を落としながらも針から毒を出し続ける

「...バケモノめ!」

苛立ちを隠さず刀に付着した緑色の体液をそこら辺に落ちていた服で拭うと帯刀はせずそのまま警戒する

「ソーマ・・・」

もはや原型を留めていない『家だった』壁から女性が青年の名を心配そうに呼ぶ

腕には子うさぎがすやすやと眠っていた
魔法を使い、眠らせている
わが子にこんな有様を見せたくないから

抱きしめる腕に力が籠もる

「大丈夫、あと少しで森の中だ。茂みの中に入れればあいつらは入ってこれない」

距離にして60m、兎の獣人からすれば一瞬で動ける距離だ

ソーマは兎の耳を使い周りの音を聞き分ける、ヤツらの羽音はかなり遠くにある

大丈夫 この距離なら追いつかれない

そう確信し背後にいる妻に問いかける

「いくよ、ミホロ」

「・・・ええ」

それを聞いたソーマは指で合図を出す

1,2の....3!

二人は一斉に飛び出した、これまでの人生で一番いい走りかもしれない

そんなことを思った瞬間

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!と辺り一面に羽音が鳴り響いた

「そんな・・・」

前方に2匹、後方に3匹の蜂の姿

蜂たちはわかっていた

獲物がどこから逃げようとするのか、どこで心臓をも止めて待ち伏せればいいのかを

蜂たちは夫婦をぐるりと囲むようにホバリングして動かない

「ミホロ、全力で前に走れ」

「ソーマ...?」

「なんとか前のヤツの動きを止める」

「ちょっと待ってよ...」

「ここで言い争っている暇はない!その子を何としても安全な所へ送るんだ!!!僕らがここで死んでも!」

今まで怒鳴った事のない夫が初めて怒鳴ったこと、そして自分の腕に抱いているわが子に意識を向ける

まだしっかりと寝息をたてて眠っている

「わかったわ」

急に目付きが変わり、おどおどした表情から殺意と敵意を蜂たちに向けるミホロ

初めて見る妻の表情に驚きはしたものの直ぐ様正面の蜂を見据える

依然蜂たちの状態は変わらずその場に留まるだけ...

と思った瞬間、後方の蜂が動き出した
ゆっくりと近づいてくる

よく見れば左右の蜂も動いている

「囲って追い詰める気だな」

「それなら、もう....」

考えは同じだったようでチラリとお互いの視線を合わせ、頷く

二人は両足を獣化させ、屈むように構える

そして力の限り踏み込んで前へと走りだした!

いや、正確には跳んだというべきだろう

可能な限り地面と水平に低く跳んで速く動こうとする

蜂たちはまさか動くとは思っていなかったのか前方の蜂以外は追いかけるように飛び始める

前方数mのところまで蜂が迫ったところでソーマは上空へ跳んだ

1匹の蜂はソーマに向かい一直線に飛び、ソーマを顎で噛み千切ろうとする

「うおおおおおおおっ!」

空中では動きを変えることなどできない、自由落下で真下にいる蜂へと向かっていく

もう少しで蜂と接触するというところで左手に鞘を持ち、蜂の目に突き立てる!

ズブリっと気持ち悪い感触と共に鞘が蜂の体にめり込んでいく

鞘をポールのように扱い、蜂の背中に足をつけたかと思うと今度は踏み台にして下へと落下していく

狙いはもう一匹の蜂

「喰らえ!」

刀を真下に向け、蜂に突き立てる

避けることのできなかった蜂は潰されるように地面に叩きつけられていく

止めをさせたか確認することもなくソーマは蜂から刀を引きぬく

力を込めすぎたか太刀の鋒が欠けてしまっていた

「...まだ行ける!」

確認を一瞬で済まし、次に全方位を見渡し耳で聞く

ちょうどミホロが森に身を隠したところが確認できた

後方からは蜂たちが迫っている、仲間が殺された所を見たためか、さっきよりも飛ぶスピードが増している

「しつこい!」

これ以上一匹一匹相手にしていられないのでソーマはバックステップで森に向かいながら蜂の羽に向かって刃を伸ばす

が、あと少しというところで届かない。太刀は空を切るばかり

「くそっ!」

切りつける事を諦め森の中へと全速力で走る

呼吸も苦しくなり、すぐ後ろに迫る羽音に恐怖する

あと5mというところで思いっきり飛び込んだ!

ゴロゴロと転がり

勢い余りすぎてゴスッと木に体をぶつける

直ぐ様自分の体を確認する。腕もある、足もある、耳もある、穴は空いていない

たった今体をぶつけた以外に痛みはない

毒針も鋭すぎる顎からも逃げることはできたようだった

直ぐ様振り返ると森の入口で蜂達がホバリングをしていた

こちらを観察するようにとどまっていたが悔しそうにしながらその場を飛び去っていった

ザマアミロ、ソーマは逃げ切れた喜びと村を襲われた怒りをありったけ込めながら、それでも小さく呟いた

「そうだ、ミホロ!」

妻の名を呼ぶ

「こっち!」

返答があった

「すぐ行く!そこを動かないで!」

声が聞こえた方へ走り出す、絡みつく蔦や小枝が鬱陶しい

森へ逃げれたといってもモンスターや獣がいることには変わりない

二人がもしも襲われたら...嫌な想像をしてしまった自分に嫌悪してしまう

早く逢いたい

その一心で草木をなぎ倒しながら進む

すると茂みから耳が出てきた、兎の耳

見覚えがあるとかそういうのではなく、ソーマは直ぐ様飛びつくように茂みに入っていった

「ミホロ!よかった、無事で!」

「ソーマ!」

無事に再開できた二人はそのまま夜を明かすことにした、愛娘と共に.....



パチパチと木が燃える音だけが森に広がる

近くにあった川で魚を捕まえ、樹の枝に刺して素焼きにする

時期が丁度よかったこともあり魚から油が滴り落ち、ジュッ!と美味しそうな音がなる

「どうしましょうか」

「そうだね、一旦ツァンダにいって助けを呼んで....」

ミホロはそこで首を横に数回振る、違うの と言いながら

「この子の名前よ、まだ付いてないでしょ?」

そう言いながらお腹いっぱいになって眠たくなったのかミホロの腕の中でうとうととしている娘を見た

「本当は明日、父さんが名付け親になるはずだったからね・・・」

村の決まりで生まれてきた子供は父方の祖父がつけることになっていたのだった

しかし村があの状態だと無事かどうかもわからない

「ソーマならなんてつける?」

「僕がかい?そうだね・・・・・うーん・・・」

生まれてこの方名付け親になったことのないソーマは考えたが結局思いつくことはなかった

「ミホロならなんて?」

振られるとは思ってなかったミホロは少しギクリとなりながらも考えることにした

「・・・そうね、ニミュって...どうかな?」

「ニミュ、か・・・いいんじゃないかな」

こうして二人の子供の名前はニミュとなった

すでに夢の世界へと行っているはずなのだがニミュは耳をパタパタと動かした

それを見て二人は微笑む

ソーマとミホロはうさぎの姿になりニミュを挟むようにして眠った、明日からの移動のために

「おやすみニミュ、ミホロ」

「おやすみなさいニミュ、ソーマ」



「ん...」

眩しさに目が覚める

チュンチュンと小鳥たちの鳴き声も聞こえる

どうやら朝らしい

「夢...な訳ないよね」

土の匂いと木漏れ日、自分たちの汚れた姿を見てあの惨状が悪夢ではなく現実だと思い知らされる

夢ならばどれほど良かったか

寝息を静かにたてる娘を見る、生えたての真っ白な産毛は埃や土まみれになってしまったが美しさは変わらない

本当ならゆりかごでゆっくりと寝させてあげたかった

まだ言葉を理解することもできず、私やソーマに擦り寄って甘えるくらいしかできない

「ごめんね」

この事態は誰が悪いということもない、あの蜂たちを憎みはするけどあれがあの蜂たちの生活なんだ

だけどこの子には幸せに静かに暮らしてほしい

そう願うしかできなかった

「ミホロ、おはよう」

ソーマは起きてすぐにヒトの姿になった

短髪のストレート、私の耳と違ってピンッと立った耳

こんな状態・・・ううん、こんな時だからこそ思える

この人と出会えてよかったって

(えーんえーん)

(どうしたの?)

(転んじゃったの・・・)

なつかしいなぁ、あの時は私もソーマも小さかったなぁ

「ミホロ」

「っ!?あ、ん....何?」

ぼーとしてしまっていたようで目の前にソーマがいた事にも気が付かなかったようだ

「魚も焼けたし・・・ほら見て」

そう言って取り出したのは真っ赤な果実

「どうしたのこれ?」

「川の向こう岸に木があってね、取ってきたんだ」

まぁ、ひとつしかなかったけど とソーマは付け加えながらナイフで切り分けていく

その時ちょんちょんと私の足を何かがつついた

「・・・・・」

ニミュだった

小さな体で私のことを揺すっている

「どうしたのーニミュー、おなか空いたのかなー?」

抱きかかえてニミュの顔を覗き込む

ルビーのように紅い小さな目に私の顔が映り込む

そのときニミュから、ぐ~と小さな音がして私たちは笑った

・・・私たちの集落で共通の事と言えば赤ん坊の頃は兎の姿で過ごす事

3歳くらいになってヒトの姿になれる

どうしてかは知らないけれど、それが決まりというよりも体質だった

「ご飯にしようか」

「・・・・そういえば長老ってどうしてるのかしら」

「あの人のことだ、どうせこんな時でも釣りでもしてるか他の村じゃないかな・・・それよりはい、魚」

「ありがとう、ソーマ」

私たちはこうして二日目の朝を迎えた


そして、3人で過ごす最後の日となってしまうことを私たちはまだ知らないのでした



「いまどのくらいかしら」

ミホロはニミュと抱え、ソーマの後ろを付いて行く

「たぶん・・・もう少しかな、半日もかからずに森は抜けるとおもうよ」

ソーマの言葉に安堵しながらもミホロは周囲の異変に気づいた

「ねぇ、うさぎたちが多くないかしら?」

草むらの中からじっと見つめるわたげうさぎたち

一羽や二羽の数ではなく、十数羽以上が見てくる

ミホロの不安を拭うようにソーマが知っていることをいう

「あぁ、このへんにはわたげうさぎたちの集落があるんだ。だからだと思うよ」

「それって私達が敵かどうか見ているってこと?」

「そうだと思う」

そうでないとうさぎたちは生きてはいけない

常に狩られる側なのだから

「私達と同じね・・・」

「むしろ僕らより利口かもね、平和ボケしていた僕らより」

そこから気まずくなってしまい沈黙が続く

「あら?」

ミホロは後ろを振り返りうさぎたちが走り去っていくことに気づいた

・・・まるで何かから逃げるように

「ぐぁ...」

カランと乾いた音がした

なにか固いものが地面に落ちるような

何かと思い前を向いたミホロは

腹部から血を流すソーマの姿が目に入った

出血箇所からは・・・蜂の針

「ソーマ!どうしたの!?しっかりして!」

「あれ...だ」

震える指で斜め上を指す

「な・・・んで・・・?」

わなわなと震える

なぜなら振り切ったはずの巨獣がそこに居たから

しかも、音をたてずに飛んでいる

二人は知る由もない近年巨獣だけではなく生態系に少しではあるが変化が起こっていることに

まるで大陸に何かが起ころうとしている前兆として

「逃げ...ろ、早くっ!」

ミホロは油断していた、木々が生い茂る森の中で蜂は来れないだろう。しかしそれならソーマはなぜ刺されているのか?と

「くそっ!」

ソーマはミホロに覆いかぶさるように動いた

次の瞬間、ミホロは右肩の激痛に呻いた

「うぐっ!...な、なんで」

体を内側から溶かして焼ききるような激痛に耐えながら右肩を見る

針がソーマの体を貫通してミホロの体に突き刺さっていた

「あいつら...針を飛ばしてくる...みたいだ」

「そんな...」

見れば地面に数匹、蜂が倒れて落ちているように見える

「ミホロ...わたげうさぎたちのところへ行くんだ」

「ソ、ソーマ?」

「刺された時点で僕も君も多分もう無理だ....ニミュだけでも」

「そんな...」

「いいから早く!新しい蜂が来る前に!!ニミュを安全なところにやるんだ、早く!」

ソーマは倒れるように動き、ミホロから針を引き抜き鋒のない太刀を手に取る

先ほどまでの音も無しに飛ぶ蜂と違い今度は小さな蜂の群れが見える

小さいといってもこぶし大はありそうだが

「来いよ、殺されにこいよ・・・バケモノが」

「ソ、ソー..」

「早く行けっ!お願いだから行ってくれ!」

ミホロはそこまで聞き、全速力で走りだした

「愛してるソーマ」

「僕もだよ」

獣人だからこそ聞き取れる声で



どれくらい経っただろうか、木にもたれているくらいしかわからない

目も霞んで見えなくなってきた

もう動かせるのは首くらいだろう

ぎこちなく首を空に向ける

「ごめん...ね、ニミュ...お父さんらしい...事...できな......く..て」

娘に向けた謝罪の言葉

「ごめんよ....キツイ...言葉...言って」

妻に向けた謝罪の言葉

「でもね」

(僕は幸せだったよ、君はどうなのかな?ミホロ・・・)

蜂の死骸の山の中で

カラン、と小さな音がした



「お願い、うさぎたち・・・出てきて」

もう右腕は動かない、ぶらんと垂れ下がるだけの棒だ

左腕で抱いている娘はプルプルと震えている

「ニミュ、ごめんね...」

目眩がする本当なら今すぐ倒れてしまいたい

けれどそんなことをしたら二度と立ち上がることはできないだろう

そうしたらこの子はどうする?

その考えが死にかけた体に鞭を打つ

木々を支えにするたび体に激痛が走る

けれど進むことを諦めない

 

しばらくして開けた場所へと出れた

たぶん森に囲まれた小屋一軒分の広さの草原

その中央に大きな切り株があり、何かが座っているように見える

目が霞んでしまい何かはわからないが白い丸だった

「だれ...なの」

「・・・望むことはあるか」

唐突に聞かれた問

老人の声・・・幻聴だろうか

幻聴でもいい、藁にもすがる思いで答える

「この子が..無事に....暮らせることを...」

ついに立っていられなくなり倒れこんでしまう

ニミュを草原に降ろしてまだ動く左腕で撫でる

くすぐったそうに耳を動かしているのがわかる

「・・・分かった、その子に生きる術を教えよう」

「ありがとう...ございます...」

顔だけを娘がいるであろう方向に向ける

「ニミュ・・・元気に生きて、強くとは言わない...から」

(ソーマ、私・・・頑張れたかな?)

「愛し....て、る....」

ぱさりと撫でられていた腕が動かなくなりニミュは首をかしげた

どうしたの?と言いたげに両前足でミホロの体を揺する

しかし返事は帰ってこない

それでも揺することは止めない

「すまぬの・・・間に合わなくて」

切り株には杖をついた老人がいた

申し訳なさそうに礼をする

その後老人は兎へと姿を変え、ニミュを背中に乗せた

ニミュはキーキーと鳴きながらミホロの方をいつまでも見ていた・・・








時は流れ2016年

「いっやーそれにしてもこんなのが何年?十数年?だっけ、この一帯を脅かしていたとはねー」

深紅の髪を揺らす女が燃え散り、崩れ去る巨大な蜂の巣を眺めていた、ぶんぶんとまるでこれは体の一部だと言いたそうに大剣を振り回しながら

傍からすれば150cm前後の華奢な体のどこに身の丈ほどのビーム剣を扱う力があるのかと思うが今はそれが常識になりつつあった

巨獣によって4つの集落が滅ぼざれた事件から5年、常人ではない超人が現れることとなった

-契約者-

彼らの働きによってシャンバラは開拓されていくこととなった

携帯電話は普及し、村は街へ変わり、害獣は駆除される

英雄的理由で戦うものも居れば賞金目的でダンジョンやモンスター退治をするものもいる

・・・まぁその所はみなさんよく知っているだろう

「ん、どーしたよ」

女は大木の隅で屈んでいた相棒を呼んだ

「いや、な」

190cmはあろうか、狼耳が頭から生えている大男が見ているものを女は回りこんで覗く

骸骨だった、時間がかなり経って動物に運ばれたらしく全体の2割程しか骨は残っていない

骸骨の片隅には錆びている太刀が土に刺さっていた

「なんだ仏様じゃんか・・・まさか、その刀拝借するの?よしときなよー、祟られるよ?」

「違う、刀鍛冶の家だからか・・・刀と仏が言ってるんだよ『守りたい』てな」

「何を?」

「知らん」

無粋に適当に男は答えると土をあっという間に掘り返し、骨を丁重に埋め、そこらにあった石にサバイバルナイフと魔法で文字を彫った

『守りたいと願う剣士ここに眠る』

「・・・・・・・・・もうちょいなんかない?」

「知らん、文句なら夢のなかでコイツがいうだろ」

男の投げやり感に女はヤレヤレと呟いた

「セキハー、緋音ちゃーん」

丘の向こうから二人を呼ぶ男の声がする

「おー、青丹どうだった?今回の報酬?」

「えーと・・・この位」

青丹と呼ばれたメガネをかけた短髪の男は紙切れを緋音と呼ばれた女に見せる

「すっくなっ!?周りの森に火が移らないように1週間も計画練ったのにこれっぽっち!?」

「まぁまぁ・・・今日はココらへんの村で祭りを開くって言うからそれでいいじゃないか」

青丹が緋音をなだめるが、むーとかぷくーとか言いながら剣を振り回す姿は非常に危なっかしい、というか危険だ

そんな姿を遠目に見ながらセキハは

「親父が刀打ちたいって言ってたしな・・・・何を守るか知らないが、これからは俺の娘を守ってもらうぞ」

即興で作った墓石を見ながらそう呟いた

 





更に時は流れ、2021年2月初旬

「な、なんだこりゃ・・・」

藍華 信は目の前の光景を凝視せざるおえなかった

埃まみれの巨大な兎が鳩を蹴散らしながらパンくずを食べているのだから

ボコスカボコスカと鳩の群れ対巨大兎の乱闘である

結果はうさぎの勝利

もぐもぐと口の中にパンくずを入れていくうさぎ

「ほれっ」

信は面白がってパンをうさぎに向けて投げる

そのたびにぴょんぴょん跳んで食べていく

初めは大きさに驚きはしたが、こうしてみると可愛い

「お前、家に来ないか?」

「きゅう・・・?きゅっ!」

パタパタとしっぽを振り擦り寄ってくる、どうやらいいということらしい

「名前が必要だよな・・・ふわふわでふーちゃんってどうだ?」

 


こうしてニミュの冒険は始まった
新しい名前を貰って・・・

 

 

 


おしまい


 

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