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閉じた本の中眠っている
思い出という名のパンドラの宝石
吐息忍ばせた躊躇いで
いつまでも見ていた

欠け落ちた私の瞳は
三日月の形に壊れた水晶
光満たすのはあなただけ
いつまでも待っている

here in the rain
欠片を探して

  -瞳の欠片-

拍手

____________

寝室へと向かいながら僕は母さんから渡された写真を眺めた
写っていたのは僕自身、日付からニーナが亡くなる数日前だ
後ろから不意をついて撮ったのか少しビックリした表情をしていて超感覚も発動していた
虹彩の色は青だった
そして今の僕が超感覚を使った際の瞳の色は黄色

「なるほど、そういう事か」

ポツリとだれに聞いてもらうでもなくただ自分に言い聞かせるためにつぶやく
そうしないと今考えたことが正しいのか自信がないから

さっきの答えで合っているということは今回のまちがい探しの目的は
『ソランが自分を責める原因を取り除く』ということ事
ただソランにここは間違っていると言っても本人からしたらそれは自分に対する慰めにしか聞こえない
けれども証拠があればこっちが言うことが本当に正しいと分かってもらえる

さっきの正解だってミントさん自身が証拠になる、そしてこの『写真』も証拠になる

「・・・本当に厳しいんだかやさしいのか分からない人だよ」

____________
寝室

結局風花もミントさんもあれからアルバム全てを見たけれど『超感覚を使うと虹彩の色が変わる』ということ以外分からなかった
どうやら『ジーバルス家』と『アルバム』で一つのことを分かるだけのようだ
・・・まて、さっきの写真と『瞳』で分かった事を合わせるとこれで終わりのような気がする
そう考えていたら風花がアルバムに挟まっていた手帳のようなものを見つけた
手帳には子供の字でソランの日記と書かれていた

「これってさっきソラ姉様が言っていたものですよね?」

ベットの方をを見て本人に読んでいいか聞こうと思ったが寝ており、たとえ起きている時に聞こうとしても全力で消去しにかかるだろう、言った通りのことが書いてあるならば自分が好きな人を好きと思っていなかった証拠なのだから

「・・・別にそうだとしても僕はいいんだけどなぁ」

見るのは流石にプライベートなので仕舞っておこうとしたが
風花が遠慮なくパラパラとページを開いていた

「風花・・・・なにしてんの」

「ハコ兄様こそどうせ本人に聞いてからとか生ぬるい事を考えていたんでしょう?」

半分ほど図星である

「そんな事でソラ姉様を助けてあげられると御思いですか?やるなら徹底的にですわ」

見たかったページが見つかったのかめくっていくスピードがゆっくりになる
が、首をかしげながらページを行ったり来たりしていた

「風花、どうかしたの?」

「実は・・・・ハコ兄様と出会う前は1ページびっちりとその日のことを書いているのですがハコ兄様と会った2日後から半分くらいしか日記を書いていないんです」

ソラ、ごめん見るね と心のなかで謝りながら日記をみる
確かにある日を境にぱったりと書く量が半減している
ふたりとも心のなかで何かが引っかかっていた

「風花、サイコメ」

「使えませんわ、あれは超人のスキルです」

同じ事を考えていたのか最後まで言い終わる前にツッコまれた
そして超人(トランスヒューマン)がこの場に居ることを思い出した
ミントがトランスヒューマンだった

「「という訳でお願いします」」

サイコメトリをするということは物に籠められた想いや出来事を知るということ
今回はソランの日記なのだからもしかしたら親には知られたくない思いもあるかも知れないということで
一度拒否をしたが10年近く経過していることや何か手がかりを知ることができるかも知れないということで渋々了承してもらえた

結果を言うと答えとまでは行かなかったが決定的なことが分かった
そして何故日記の一部の内容が半分ほどしか埋まっていなかったのかも

「これで・・・ソランの心を救ってあげれるかな」

____________
翌日になってソランは目を覚ました
目は赤く充血していて、疲れているようだった

「ソラ、おはよう」

ハイコドはソランの手を一晩中握っており、ほとんど睡眠を取っていなかった

「・・・・おはよう」

いつもだったらここでいちゃついたりするのだがソランが顔を合わせないため気まずい雰囲気になっていた

「ニナに責められた?」

ソランは黙って頷く

「・・・そのままでいいからリビングにおいで」

先に待っているからと一言いってハイコドは寝室を後にした

____________

30分後、ゆっくりとリビングのドアが開きソランが入ってきた
ソラン以外はすでに朝食も食べ終わっており緋音、ミント、ハイコドはソファーに座っている
風花と信は家具の後ろにこっそりと隠れていた

「さて、ソランちゃんこれから言うことは全て証拠があることってわかってほしい」

ソランは黙っていたが緋音は構わず続けた

「これから言うことはソランちゃんが見た夢の嘘を暴く事だ」

ソランの耳がピコッと動いた

「一つ目だが、ハイコドの超感覚はちゃんとソランちゃんと契約したものさ。この写真を見てみな」

そう言って渡された写真は超感覚を発動させている幼い頃の写真と今の超感覚を発動させているハイコド
が写っていた

「実はミョーなことにジーバルス家と契約した地球人は超感覚を使ったら虹彩の色が変わるみたいでね」

そう言うと緋音は超感覚を発動し、ライオンの耳と尻尾が生えて虹彩も茶から黄色へと変化した

「で、ニーナは珍しく超感覚を使っても変化しない・・・・いや、おそらく使ってもほんの小さな変化しか起こらない体質だったんだろう、で考えてみな。ニーナと契約していた灰高登は虹彩が青色だった、けど今は黄色だ」

そこにハイコドが続けて言った

「要するにねソラン、今の僕はちゃんとソランと契約しているんだ けっしてニーナとの契約が復活したわけじゃないんだ」

「・・・・・・・・」

「次は・・・・まぁだいたい今のと同じだな、ジーバルス家は超感覚を使うと虹彩の色が変化するミントがその証拠さ」

「・・・・・・・・」

ソランは黙って話を聞いていたが

「それじゃ、私が完全獣化したら何でお姉ちゃんと同じ毛の色になるんですか」

ハイコドはしまった、と心のなかで思っていたが緋音は逆だった
まってました

「実はな、知り合いの医者に調べてもらったんだよ、ソランちゃんの毛をくすねてさ」

いつの間に・・・・とハイコドは思ったが考えてみれば今まで緋音がソランを色々と撫で回したりしていた時のことを考えたら毛の一本や二本位くすねるのは楽勝だと思えた

「結果はどちらもソランちゃんのDNAのみ、狼の姿もちゃんとソランちゃん自身ってことさ・・・・まぁ医者曰く体質だとさ」

緋音は人によっては地球人でも髪とか爪とか変化する奴もいるしな、と付け加えた

「ここまででちゃんと分かったのは超感覚はちゃんとソランちゃんのものでニーナから渡されたものでは無いってことだ・・・だけどこれじゃ足りない」

1テンポ間を開け

「ソランちゃんが灰高登の事を嫌いなんかじゃなかったという証明ができていない・・・正直私もこればっかは分からなかったんだけど、風花と灰高登が見つけおったのさ証拠を」

風花が家具の影から顔を出しちょこちょこと手を振る

「まぁ見せるのが手っ取り早いな」

そう言って渡したのは一本のライトと手帳・・・・ソランの日記だった
見た瞬間投げ捨てようとしたが思いとどまりページを開くことにした
ハイコドと会った日からは夢で思い出したものとほぼ同じだった

「さてと信、風花、カーテン閉めてくれ」

そう言われて待ってましたと言わんばかりのスピードで部屋のカーテンが閉められ部屋が薄暗くなる

「ま、こんなものだろ・・・ソ」

続けて言おうとしたが

「ソラン、此処から先のページの書いていないところにライトの光を当ててみて」

とハイコドが続けていったので小さく、小さく緋音が舌打ちをした
がそれはソランには聞こえずハイコドに言われたとおりに光をあてる
すると文字が浮かび上がってきた

「ブラックライトペン・・・・10数年前にある映画で流行ったものなんだ」

ハイコドが説明している間にポタッポタッと雫が落ちる音がかすかに
ソランが泣いていた
なぜならば浮かび上がった文字が

書かれている鉛筆の文字と正反対の事を書いていたから
姉と遊んで楽しかったことや男の子と遊んで楽しかったこと
姉と男の子が契約して少しさみしかったこと・・・そして
知り合った男の子の事を好きになったこと

「遊んでとっても楽しかった!」

『本当は遊びたかったけど今日はお姉ちゃんに譲ってあげよう』

『お姉ちゃんもハコの事好きなのかな・・・どうしよう』

『お姉ちゃん、おめでとう』

『お姉ちゃんと仲直りしたいな......』

『どうしたら諦めれるかな?ハコのことを』

「私・・・・・ハコのことを・・・・・初めか・・・ら・・・好きだったんだ・・・・」

ソランは日記を抱きしめて静かに泣いていた
そして、最後の言葉、ソランを完全に救う魔法

「さて、あんたらはちゃんと超感覚の事を調べただけでなく私も知らなかったことを調べ上げたわけだし・・・ソランちゃん、ニーナの言葉だ」

一呼吸置いて、ゆっくりと

自分を責めないで、強く生きて。そしてごめんね だ」

姉からの最期の想いはどこにも自分を責める言葉など無く、真逆の言葉だった

それを聞いた瞬間ソランは泣き叫んだ
だが、それは昨日のような自責から来る叫びではなく
姉の死という悲しい出来事で必ず、そして10年ほど経ってやっと姉のために流せた涙だった

それからソランが泣き止むまで全員が待った
ハイコドはソランを優しく抱きしめていた

数分後、落ち着いたソランはミントに少し休むか聞かれたがこのままでいいと言った
それからカーテンも開いた

「さて、今度はお前だ馬鹿息子」

「馬鹿息子言うな」

「・・・・・遊んでくれてありがとう、こんなことになってごめんね、妹をよろしく だと」

その時、ハイコドに変化が起こった
超感覚が勝手に発動し、耳や尻尾が生えただけではなく
右目の色が変わっていた。
黄色から青色へと
本人は何を皆が驚いているか分からなかったが斜め向かいに居た緋音に言われて
鏡を見て気づいた

「な、なんじゃこりゃー!?か、母さん何これ!?」

「私に聞くな!!!私だって知りたいわ!」

だがふとハイコドとソランは思った、これはニーナからの贈り物ではないのか と
左目はソランの眼の色、右目はニーナの眼の色となるから

それからまた数分ほどゴタゴタしたが超感覚も戻せるし視力に関しても何の異常も無いということで後回しにすることに

「で最後はミント、あんただ・・・・ほんとに一言だが聞くかい?」

ミントは強く頷いた、もう数週間前のソランたちがニーナの事を思い出すことを恐れていた顔ではなかった
たとえなんて言われても受け止める覚悟はできていた

「ありがとう、その一言だけさ・・・それだけ言ってあの子は力尽きたのさ」

「そう・・・緋音、ありがとう....そしてごめんなさいね今まで背負わせていて」

「今更そんなことでありがとう言われてもねぇ.....私達友達だろ?」

ありがとう ただ一言だけれど、本当に一言しか言えないならばこれ以上はない言葉だった
お母さんありがとう、今までありがとう、育ててくれてありがとう
他にも言葉は繋げられる
それこそ無限に

これでひとまずニーナに関する物語はお終いとなる
しかし死者と話せる機会があるのなら・・・・・・・
続きはまた始まるかも知れない


『記憶と瞳と真実』

BESTエンド


おしまい

________________________

あとがき

まずは最後まで読んでいただきありがとうございました
とりあえずソランも元通り元気となりますしハイコドにも変化が起こりました

そして緋音がどのような判断をくだすかを皆様に決めていただくアンケートで第三の選択肢を作っていただいた某PCのPL様(特定できないけど特定できる方ではございません)
本当にありがとうございました、私自身アンケートに出した2つの答えはどちらでも書けるようにしていただけあって見事なブーメランフックを顎にくらいました(笑)

ちなみにそのまま教えていたら日記は見つからず書いていた事も判明せずBESTエンドにならなくて、北海道に飛んでいたら竜螺家に日記が有った という展開になるはずでした
(緋音と信が話していたあと1つわからないというのは『ソランが本当にハイコドを嫌っていたかどうか』のことでした)

最後になりますが、文脈があっちこっち行ってしまって本当にすみませんでした!!!!(土下座
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